自分自身でもあんなふうにジャケットを着てみたいと、ジーンズをはき、Tシャツを合わせ、ジャケットをはおった。足元はゴンパーズでは逞しすぎるので、素足にローファーにした。できることなら、髪を伸ばして、ボリューム感たっぷりの巻き毛にでもしたかったのだが、髪を伸ばすたびに山のように寄せられる“同情”に屈してショートカットのままにした。男っぽい、飾りをできるだけ排した格好をするとき、ショートカットは分が悪い。単に「小さなオジサン」になる危険性があるからだ。小鹿のような肉体に、たっぷりの長いつややかな髪、それに無駄のないシンプルなジャケット。ああ、私がその頃必死に追求した究極のいいオンナのスタイルであった(できなかったけれど)。さて、ジャケットスタイル。私は「オトコまさり」とかいわれるが、体型だけは年々オンナたっぷりの曲線そのものになっている。特に肩はショルダーバッグがすべり落ちる立派ななで肩。どんどんまあるくなる腰まわり。どうあがいても小鹿には戻れない。その止められない成熟の過程で、びしっと助け舟を出してくれるのが、ジャケットだ。
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